今回は保有個人データについてです。
情報の保護に関する法律 第2条第5項
この法律において「保有個人データ」とは、個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって、その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるもの又は1年以内の政令で定める期間以内に消去することとなるもの以外のものをいう。
個人情報の保護に関する法律施行令 第3条
法第2条第5項の政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
1当該個人データの存否が明らかになることにより、本人又は第三者の生命、身体又は財産に危害が及ぶおそれがあるもの
2当該個人データの存否が明らかになることにより、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがあるもの
3当該個人データの存否が明らかになることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあるもの
4当該個人データの存否が明らかになることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障が及ぶおそれがあるもの
個人情報の保護に関する法律施行令 第4条
法第2条第5項の政令で定める期間は、6月とする。
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6か月を超えて利用予定の個人情報は、取得直後でも保有個人データに該当し、保有個人データにに対する義務が発生します。
「保有個人データ」とは、個人情報取扱事業者が、本人又はその代理人から求められる開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止のすべてに応じることができる権限を有する「個人データ」をいう。
個人情報取扱事業者が個人データを受託処理している場合で、その個人データについて、何ら取決めがなく、自らの判断では本人に開示等をすることができないときは、本人に開示等の権限を有しているのは委託元であって、委託先ではない。
ただし、次の①又は②の場合は、「保有個人データ」ではない。
①その存否が明らかになることにより、公益その他の利益が害されるもの。
②6か月以内に消去する(更新することは除く。)こととなるもの。
「その存否が明らかになることにより、公益その他の利益が害されるもの」とは、
以下の場合を指す。
①その個人データの存否が明らかになることで、本人又は第三者の生命、身体又は財産に危害が及ぶおそれがあるもの。
事例)家庭内暴力、児童虐待の被害者の支援団体が、加害者(配偶者又は親権者)及び被害者(配偶者又は子)を本人とする個人データを持っている場合
②その個人データの存否が明らかになることで、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがあるもの。
事例1)いわゆる総会屋等による不当要求被害を防止するため、事業者が総会屋等を本人とする個人データを持っている場合
事例2)いわゆる不審者、悪質なクレーマー等からの不当要求被害を防止するため、当該行為を繰り返す者を本人とする個人データを保有している場合
③その個人データの存否が明らかになることで、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあるもの。
事例1)製造業者、情報サービス事業者等が、防衛に関連する兵器・設備・機器・ソフトウェア等の設計、開発担当者名が記録された個人データを保有している場合
事例2)要人の訪問先やその警備会社が、当該要人を本人とする行動予定や記録等を保有している場合
④その個人データの存否が明らかになることで、犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全
と秩序の維持に支障が及ぶおそれがあるもの。
事例1)警察からの捜査関係事項照会や捜索差押令状の対象となった事業者がその対応の過程で捜査対象者又は被疑者を本人とする個人データを保有している場合
事例2)犯罪収益との関係が疑わしい取引(以下「疑わしい取引」という。)の届出の対象情報